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<<   作成日時 : 2008/04/30 22:23   >>

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  4月22日晴
図書館に行く道すがら、真っ白なはなみずきが咲き誇っている一画があって目を楽しませてくれる。
その純白な花群を透かして奥のほうに、淡い紅色の花をつけたのも見える。不意に白い鳥が飛んで来て花を揺らせた。瞬間、私の中の時間が止まり、鳥の羽ばたきがあたかも天使の化身となって一つの絵を現出させた。花樹と花樹の空間がアーチ状になっていて、瞼の奥にフラ・アンジェリコの「受胎告知」が見えた。
かってその有名な絵を私はフィレンチェのサン・マルコ修道院で見ている。その名前から「天使のような修道士」と敬愛された画僧の傑作である。暫くの間、私はぼんやりと白昼の夢を見ていた。周りの空気に花の匂いが交わってほのかに漂っている。イタリアへの旅が懐かしく甦える束の間の時間であった。


  4月24日雨 
人生は短く過去の時間だけがどんどん集積されていく。読みたい本はまだまだ幾らでもある。「考える人」という季刊誌を手にして見ると、世界文学のベストテンを選ぶ特集がなされており、そこでアンケートに答える人が、挙って上げているのが、G・ガルシア・マルケスの「百年の孤独」である。現在この本が数多の名作を凌ぎ、揺るぎなしのナンバーワンになっていた。1967年に発表され、わが国で新潮・現代世界の文学の一冊として刊行されたのが1972年、マルケスがノーベル賞を受けたのが1982年、それ以来どんどん版を重ね、私がこの本を買った1995年の奥付は44刷になっている。

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コマンド村の創世記から黙示録的終末に至る100年に亘るブエンディア一族の波乱に富んだ物語は読む人の心を
鷲掴みにする。また再読の季節が来たのを喜ぼう。

  4月26日晴
午後、BS2で故河島英五が自身の作詞、作曲による「ベナレスの車引き」を歌っているのを聞いた。彼はインド、アフガニスタン、シルクロードをはじめトルコ、ペルー、ネパールなどの国々を、単身で歩き、そこで多くの人に接した体験を歌にして「文明」シリーズという三枚組みのアルバムを作っている。ガンジス河畔で知り合った生生世世の世を肯定して生きている痩せっぽちの年老いた一人の車引きが一日僅か一人か二人にしかならない客を乗せる位の稼ぎにもかかわらず、太陽を指さし自分には息子も孫が沢山いるので一番の幸せ者なんだ言う歌詞に言い知れぬ熱い思いが込められているのを聞きながら、こちらも同じように胸がつまって来るのだった。
偶然ではあるが、今日の夕刊にカトリックのイエズス会総長、アドルフォ・ニコラス神父を訪問した折の記事が載っており、その中に「アジアではよく、智慧のある人がお月様を指さす、愚か者はその指を見ると言います」という短い暗喩が語られていたが、ベナレスの老人の指さす先に見えていたものは、おそらく自分を包んでくれているであろう大きな神の力だったのかも知れない。老人にはそれだけで十分足りていたのである。
  


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
サン・マルコ修道院の「受胎告知」私も見ました。階段を上がったところでひっそりとした光を集めるようだったあの作品は、数多く描かれている受胎告知のなかでも私が一番好きな作品です。

ガルシア・マルケスは「愛その他の悪霊について」をブログで書きたいと思いつつもずっと「編集中」になったままです。(笑)
「百年の孤独」については、私ももう一度読み直したいと思いつつも果たせずにいます。
この本を読むためには、それなりの覚悟と体力、気力が必要ですね。
aosta
2008/06/11 13:12
マルケスを咀嚼して理解するには、それこそ100年(笑)かかるかも知れないカオスを手探りで分け入って行く位の根気がいるように感じます。時間は待っていてくれないので、凡人には中途半端な理解のまま底なし沼に沈むのが落ちみたいです。そんな目でみると人生のスパンは本当に短いものですね!英五の放浪の旅も自分の不確実なアイデンティティーを求めるためになされたような気がします。
現代この地球上で起きている天変地異とか、人間の精神欠落のさまざまな現象をヴォワイヤンはそれをすでに滅びの予兆として捉え、やがて来るべきものをもう見通しているのかも知れません。
sonnet
2008/06/12 17:29

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